【詩】雪見

おばあさんになったらとても恐ろしいことが待っているのだと現時点では信じている神の子らも、おばあさんになったら毎日をおそろしく生きなければならない。それってことわり?それって簡素なことばでいうと、愛?今の時点でとても恐ろしく生きているならおばあさんになっても変わらず恐ろしいだけで、だったら泳いで早くどっかへ行っちゃったほうがいいんじゃないですか。愛じゃないなら恐怖なんてない。それってことわりおことわり?お断りならこちらからさよなら言います悪くないかな。道行く犬(もちろん大人達を連れている)はみな聡明な目をしています。だからおばあさんの恋は犬の背中に乗っかって、無事に夏の砂漠へ行くみたい。安心するのは断然早くて、決断はできるかぎり遅いほうが有利だし、後出しなんていつでもするのがいい。頭のいい子が好きなんて誰も言ってない。言ってないのにやっぱり聡明な目はかたっている。ついてこれないなら計算ドリルと絵の具セットをあと5回ずつ。元旦までにその水色、5のつく数字で仕上げてきなさい。ね、こういう恐ろしさの先におばあさんの恐ろしさはたぶんあったけど、それってもう曇り空ふんわり薫る夜よりも先へ行ってしまったみたい。おばあさんをのけものにするのではなくてね。おばあさんは漂流することでおそろしさの一歩前でずっと踊っていることができるんです。だから行くんだよ。花が見たいなら雪をどかせばいいと。萎れた緑が待っているからと。救出して育てればいい。と、聡明じゃないおばあさんゃないところの私が保証をしてあげよう。その花を見られたら完成するあなたの雪見。

【詩】星を生む

星を生む

昨日から願ってたことが明後日叶うなんて信じられないほうが馬鹿。ほんとは今日にだって叶うそれは黄色いバケツの微熱のガーネット。切り花はすぐに水切りしないと夢さえ見るのは叶わない。理不尽通り越してドリーミング踊っちゃったほうが勝ちよっていいとこどりのお姉さんは屹とそう言う。馬鹿正直に水を吸っていたいのですと申告すれば、じゃあ星を生むのは来世ということでここはひとつ決着をつけるべき。泣きたい気持をがまんして飲みたい水をはきだして、ビートにゆれてユーロに飛んで腰つきはデンジャラスに、もっと踊れ、触れ、降れ、フレフレがんばれ。夢見たいなら水飲んで、星産みたいならダンスが待ってる。まいっちゃうよな星間飛行、きっとだれもが搭乗済みで、草花だけが地割れで揺れてる。可憐に揺れてる。弱いということ。死の中で生きているということ。

【詩】8月の無茶言うなよ

この海岸でひろえる貝殻はこの柄だけです。ってもう決まってる。それはいまが未来だからじゃない。SFだからじゃない。古代からずっと決まってるきっと。この白に茶色がまざった巻き貝。それと小指の爪みたいな桜色のちいさなきらきら。それだけです。それだけだってがっかりした自分はこの海岸のどの貝よりもうつくしくなくて、じゃあ私自身うつくしくなってみせろって、挑発されてもうつくしくならなくて、ただかなしくなっちゃった、砂を飛ばす。女子高生だった頃まねかれた他校の文化祭。左右で違うスリッパ。靴入れ用のビニル袋。あそこから今までで何歩うごいた?この海岸はどれだけきれいだ?あの雨の日といまとの間に距離はあるか?おとなになったか?老いたか?桜色の小指の爪は、いまだにいたいたしげに泣いているか。

すばらしく素晴らしい存在になっちゃえるのならそれでもいい。そうならないなら白に茶色の巻き貝をただ耳に当ててまた紺碧波に投げればいい。誰もあなたを待っていない。誰もあなたを信じていない。だから放り投げていいんだよ。左右違いのスリッパも、濡れて所在ない折り畳み傘も。喧騒の中張り付く前髪。ずっと前に会ってたね。あの時から長いこと時が立ちました。待つより先にやることがある。嫌いと言われるためだけにでも、桜色ははがれてゆきます。少しずつ決然と。どこからきてどこへゆくのか、巻き貝よりももっと知られない彼女らの葬列。

【詩】雪かむりの白そうび

首都高のオレンジのライト。あれってなんだか幸せな記憶としておぼえている?あなたがちいさな時もあれとおなじオレンジのライトが、きっと群馬の水上あたりで照らしていたよ。それがどうやら環状八号線。ねえ遠くまで来ちゃったね。ギアチェンジには随分黒い苦労も銀色の疲労もひろってきちゃったみたいだね。それでもオレンジのライトがまだ君のかわいいパールでふちどられた耳たぶを照らすよ。おこがましい、神々しいひかりで。このあと家に帰って郵便物と不在票と宅配ボックスをチェックして、ライン送って、歯磨きしてベッドにダイブだけれども、耳で揺れてたちっこいパール、それを食べちゃいたいなんて思ってた狼がいたことをあなたは知ってて、まだ皆には隠してる。おなかがすいたら言えばいいかな?そうこうするうち遅きに失し、めもあてられない首都高お礼参りにならないように、既読は早く、スタンプでもいいから。どうか眠る前に照らされて、あの林の中の土の上の枯葉の真横のぶわっとしたライト。えいえんに雪は降らないよ。雪をオレンジにする義理なんてかれらにないもの。白いそうびは気の毒だけど、シュガーパウダーかぶってるんるん。手折られるまでチョコ味隠して。環状八号線の上を飛んでいるとき、あなたが手土産にしていた、その白いそうび。かなしくなんてなかったよ、連れてきてくれてありがとう。

【詩】ひとりでごめんね

いきなり謝るっていうのもどうかと思うけどひとりでごめんね。あなたの世界がひとりでごめんね。ひとりきりで産み落としてしまって海からも遠く陸からも高くこんな空のまっ只中でひとりで輝かせてごめんね。あなたがひとりでいる間、わたしは若松河田で愛だよそれって愛だよなんてうそぶいたりしていて、絶対零度から沸騰百度までの温度差なんて誰でも知ってるようで絶対経験したくないんだろうね。ひとりにはおかしみがあって、それは何より大切かというとそうでもない。やっぱりひとりじゃないことより重要なことなんて皆目みあたらない。それでもみんなひとりです。ひとりで食器洗ってひとりでスーパー行ってひとりで預金下ろしてひとりで輝いています。おかしみなんてかなしみより少し地位が高いだけのしろもののくせに随分とはばをきかす。でもありがとう。私をひとりにしてくれた、どこかの誰かの怪物たちのおかげで、私は100度間のハピネスにそれって愛だよなんて言える。ひとりはこわいけどひとりはおかしい。ひとりで生まれてきてごめんね。だって美しく天に登る龍って、それもいつでもひとりでしょ。二匹で登ったらおかしいもんね。そんな理由。もっともな理由。私たちみんな龍じゃないのにやっぱり玉を持って生まれてきている。それを手放さずに光らせることができればそれでいいんだよ。

onBLUE(オンブルー)vol.25かんそう

 

onBLUE vol.25 (onBLUEコミックス)

onBLUE vol.25 (onBLUEコミックス)

 

 久しぶりに買いましたオンブルー!💕

目当ては特集「大人のボーイズラブ。」の横槍メンゴ先生の1P寄稿です。1P!このためだけに買いました!はい!!メンゴ先生(ヨリ先生)の同人誌(土沖)が私の中で一生一位を譲らない至宝なので、メンゴ先生がBLを描いてくれたらいいのになあっていうのはずっと言うと思います。特別寄稿のページは一枚絵とかじゃなく、全部漫画でした!感動しました!どの先生のページも気合入りまくりで‥大人のBLとはなんだ?って感じでどの先生も迷いながらって感じでしたがご自身の大人になってからの萌えの変化などを中心に描かれてました!

そして特集のあとは日高ショーコ先生のロングインタビュー!!私は憂鬱な朝が大好きで(というわりに最新巻をまだ読めていないのですが‥!!)、しかし日高先生がお二人で描いてらっしゃるとは全く知りませんでした‥!!プロット・ネームはタキエさん、作画は日高さんとざっくり分かれているようですが、そこはほんとに混じり合っていて、「二人で作っていく」過程がよくわかったインタビューでした。もう二人で一人じゃん!!と思って感動しました。魂の二人組ですね‥血縁とかじゃないのに二人でここまで描けるのはすごいすごすぎる‥‥。花は咲くか、嵐のあとのあたりのお話が多くて、でも憂鬱な朝のお話も後半にがっつりありました。憂鬱な朝‥(´இωஇ`)買い揃えないと‥!!という気持ちに強く駆られました‥(´இωஇ`)🌟

 

続いて連載陣の感想を‥!!言いたいのですが、連載がもうみんな結構進んでて、前を読まないとわからない‥!でもこれ、ジャンプとかでも同じだと思うんですけど、連載だとしても目を引く漫画とか、前後がわからないなりに心惹かれる漫画ってありますよね!!細かく言う時間がないのでタイトルだけピックアップです!

🌟松本ミーコハウス「ボーイズラブ!」テーマがはっきりしてたので、前後がわからなくてもわかりやすかったです!このくらいの情報量だとたすかる!

🌟紀伊カンナ「春風のエトランゼ」以前ちょっと読んでたのでその知識でなんとか‥それにしても登場人物が多すぎて誰が何やらやっぱりよくわからなかった!笑 でも絵がかわいいしお話も相変わらずよくてじんわりしました〜

🌟のばらあいこ「寄越す犬、めくる夜」受けが救われる回だったのでいい話だ〜〜オエ〜〜〜(´இωஇ`)てなりました

🌟川夏子「しらいくんのくびときず」首に傷を描くというのが新鮮で、物語の真相もなんだか詩的でこころに残りました〜!とってもオンブルーらしいお話だなと思いました(ヤマシタ遺伝子を感じると言いたい)

🌟緒川千世「赤のテアトル」ファッション業界のお話でパツキンロングの受けのビジュアルがかわいいです。さすがベテラン先生、お話がとっってもわかりやすかったです!!あと絵にもう一歩魅力があれば私もはまっていたかも‥

🌟紗久楽さわ「百と卍」いやーーーーーーもう圧倒的作画と時代背景の作り込みと‥キャラクターですね‥‥そして圧倒的くもはる遺伝子‥‥!!攻めがとにかく格好いい‥!今やってるドラマの石川五右衛門みたいな感じです‥キザがまったくキザにならない‥!受けがもうちょっと硬派だったら完全に落ちてました‥。受けはただかわいいだけの受けちゃんなのでそういうのが好きな人にはたまらないと思います。

 

以上です!

オンブルー前買った時はもっと満足度が高かった気がするのですが、今回は期待値が高すぎてそこまでではなかった‥!あと好きな受けがいなかった‥!!笑

レーベルごと解釈違い‥?//オンブルーはオンブルーというよりもやっぱフィールコミックス感が強くて‥今回の連載陣だと個性よりもフィール色のほうが強く出てて‥?って感じられました。たなとさんとかはらださんとかためこうさんとかの旬作家さんが多く載ってる号だったらもっと満足度高かったか?!とも思いました。個性派。でも気になってた紗久楽さわ先生のBLが読めてよかったです!うーーん一人だけもう作画と舞台設定の次元が違う‥‥。ひでよし先生のは前後がわからないので全然わかりませんでした!しかしヤマシタ遺伝子は強く感じました!ヒキはあれでいいのか?!って思いましたが、強くファンが付いているからいいのでしょう。新連載とか読み切りがもう少しないと、新規読者には敷居が高いのかな?って思いました。せっかくいい表紙と特集なので、中身でも引き込ませてくれるともっと嬉しかったな〜!と思いました!その点以前のためこう×高尾滋対談の号は神だったなと思いました!!

 

 

花村ヤソ『アニメタ!①〜③』かんそう

 

アニメタ!(3) (モーニングコミックス)

アニメタ!(3) (モーニングコミックス)

 

 目を引く装丁はナルティス!(浜崎正隆さん)

どうしてもこう‥アニメーターさんの描かれる鉛筆と色鉛筆の色分けの線に弱くてですね‥アニメーターさんの原画とか大好きなんですあの色鉛筆で描かれてるやつ‥!!そして3巻の帯の羽海野センセイの推薦文と「働きマン以来の熱くて本気な、働いている人、必読の漫画です!!」にやられて、やってしまいました‥‥①〜③同時買い‥‥。表紙の絵、装丁ともにすっごくいいんですよね‥(´இωஇ`)さすがもとアニメーターさんのカラーイラスト‥‥!

内容は、3月のライオンとか重版出来とかかくかくしかじかに慣れ切った頭には、少々物足りなかったです‥!!帯というかパッケージにしてやられました!!まんまとジャケ買いさせられました!!(これ、「売った」側だったらめっちゃ気持ちいいんですけどね!!)

とにかく実力の足りない19の女の子が、その才能を神監督に見出されて、実力が足りないながらも頑張る‥という話なのですが‥!!たしかに、その「実力の足りなさ」はこっちまで苦しくなってくるようなリアル感があります‥!!19歳で、体力あって、いいな!!と素直に思いました!しかしやはり自分の出来なさには傷つくもので‥そこもリアルでした。神監督の、主人公への励まし方が、もっと言葉で言ってあげればいいのに〜って感じですが、そのさじ加減が、やっぱアニメを作る人たちなんですね〜‥!!言葉にはしない!!言葉は必要最小限でいい!!仕事上言わなくていいのそれ!?っていうところも、言いません。そこらへんもっと押し出して書いてくれたら理解しやすいのになと思います。でもそういう仕事場もあるのかもなと思いました。私は仕事はコミュニケーション(伝達)で解決できることは解決すべきだと思ってる側のフツーの人間ですが、アニメーターさんたちはやっぱりフツーの仕事の人からすると、みんな天才肌なのかなって思います!

とにかく光るものは持っていて体力と努力はあるけど圧倒的に実力のない主人公、失脚した有名漫画家をママにもつ優秀新人ツンデレ美少女と、29歳の動画検査(神監督に見出された)メガネ上司のフジ子ちゃんの3人が中心人物でしょうか。あと神監督も微妙に葛藤を抱いているのが3巻で描かれました。

フジ子ちゃんは29歳だけど原画ではなく動画検査という役職で(動画を数年やったら原画を描く人になるのが普通のようで、舞台となっている会社では月500枚動画を描くのを3ヶ月続けるか、入社して3年目になれば原画になるテストを受けられる)、親からははやく結婚しろと見合いを急き立てられ、という、微妙にアニメ業界でもアウトサイダーな役どころで面白いです。神監督の「動画検査やってほしい」の言葉に縛られてるのをちょっと恨みつつやっぱり誇り、でも自分の立ち位置はつかみ損ねている、みたいな。

なんだろう‥題材もいいし、キャラも立ってるし(ツンデレ美少女にはとくにそこまで惹かれないが)、話の展開もおもしろいのだけど、あと一つ何かが足りないような‥なにか惜しく感じる漫画です。作画の微妙な書き慣れてなさ、雑さも気になるところですが、そこではない気がします。青年漫画だからかもしれませんが、キャラの心情をもっと出していいと思うんです。モノローグがいやなら行動や態度や仕草でもっと。凹んだから屋上で憧れのアニメの呪文を唱えて人知れず泣く、とかなんの新鮮味もありません。わかった!「たぶんこれこのあとこうなるだろうな」っていうのの裏切りが、あんまり多くないんだ!?あと、やっぱり紙幅にたいしての情報量が、少女漫画で育った人間からすると少なく感じます。ざっくりいうと、大味?このページ数もらってんならもっと細かく話つくり込むか、もっと話進めるかできるだろう!って頭のどこかで期待しちゃっているのかもしれません。そこまで丁寧に心情を追う漫画でないのなら、時間の流れをもっと早くして、主人公の成長をもっと早くしてもよかった気がします。とにかく展開が‥遅い‥!そして唐突!なんでこんな説得力がないんだろう?いやあります、あるんですけど、あと一歩のところでどうしても話に入り込めないリアリティのなさというか‥。う〜〜〜ん‥‥。うん、でも一番はやっぱりテンポというかスピード感かな‥!!もっと早くていい!それかこのスピードでやるなら、もっと書き込んでほしい‥心情を‥‥。その二つだろうか‥あくまで私がそこまで入り込めなかった理由はですが‥。

 

それにしてもこの漫画を①〜③1冊ずつ並べておいてくれた書店さんはすごい!!まんまと買ってしまいました!笑

舞台が今住んでいるところの近くなのでロケハン的な意味でもすごく興奮しました!あと、おもに動画まわりのことしかまだ話が進んでないのでそこだけですが、アニメの基礎の基礎というか、アニメーターの新人さんがなにをやっているのか、というのはよくわかりました!アニメがどう動くのかとか!アニメーターの賃金の低さとか(度々問題提起されていますよね)。

とりあえず久々にジャケ買いした(しかも3冊イッキ)漫画があと一歩自分には合わなかったですという日記でした。

他に今日書店で見てて気になったのは、『夜鳴きのシィレェヌ』『宇宙のプロフィル』『はじまりの竜とおわりの龍』、いつかは読まなきゃ!と思ったのは『ダンス・ダンス・ダンスール』です。これを3冊買うならダンスールを2冊素直に買ってくればよかった‥意地汚いですがそのくらいドライに勘定してます。でもアニメのこと、少しだけ勉強になったのでよかったです!!あと自分がどんな漫画だとモヤモヤしちゃうのかとかも‥ひとつひとつのエピソードが(私にとって)やっぱり弱い!それでも3巻まで続いてるってことはちゃんと人気のある漫画なんだと思うので、これからも頑張ってほしいです!!あとアニメSHIROBAKOはやっぱり見ておきたいな!と思いました!!