【詩】ひとりでごめんね

いきなり謝るっていうのもどうかと思うけどひとりでごめんね。あなたの世界がひとりでごめんね。ひとりきりで産み落としてしまって海からも遠く陸からも高くこんな空のまっ只中でひとりで輝かせてごめんね。あなたがひとりでいる間、わたしは若松河田で愛だよそれって愛だよなんてうそぶいたりしていて、絶対零度から沸騰百度までの温度差なんて誰でも知ってるようで絶対経験したくないんだろうね。ひとりにはおかしみがあって、それは何より大切かというとそうでもない。やっぱりひとりじゃないことより重要なことなんて皆目みあたらない。それでもみんなひとりです。ひとりで食器洗ってひとりでスーパー行ってひとりで預金下ろしてひとりで輝いています。おかしみなんてかなしみより少し地位が高いだけのしろもののくせに随分とはばをきかす。でもありがとう。私をひとりにしてくれた、どこかの誰かの怪物たちのおかげで、私は100度間のハピネスにそれって愛だよなんて言える。ひとりはこわいけどひとりはおかしい。ひとりで生まれてきてごめんね。だって美しく天に登る龍って、それもいつでもひとりでしょ。二匹で登ったらおかしいもんね。そんな理由。もっともな理由。私たちみんな龍じゃないのにやっぱり玉を持って生まれてきている。それを手放さずに光らせることができればそれでいいんだよ。